【特集】千田健太選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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千田 健太選手 プロフィール

千田 健太選手

フェンシング選手 NEXUS所属
ロンドンオリンピック フェンシング男子フルーレ団体銀メダリスト

PROFILE

1985年8月2日生まれ。宮城県気仙沼市出身。父も元フェンシング選手で、本人は中学から父の指導の下でフェンシングを始めた。宮城県気仙沼高等学校時代はフェンシング部の主将も務めていた。中央大学に進学後も試合で実績を積み、2006年のフェンシングワールドカップシリーズ東京大会では3位入賞した。卒業後は故郷のクラブチームに所属し、2008年の北京オリンピックに出場。2009年からはNEXUSのフェンシングチームに所属し、2012年には2度目となるロンドンオリンピックに出場。そして日本初となるフェンシング男子フルーレ団体で見事銀メダルに輝いた。また同年、気仙沼市市民栄誉賞も受賞している。

千田 健太選手の学生時代は・・・

太田選手に負けた悔しさが、最初のターニングポイントだった

千田 健太選手写真
 小学生の頃はサッカーや野球をやっていて、フェンシングを始めたのは中学校に入ってからです。僕の父親が高校でフェンシングを教えていたので、環境としては恵まれているんじゃないかなと思って始めたんです。それまでは地味なスポーツのイメージがあったのであまり興味がなかったんですが、実際に練習していくうちに相手との駆け引きだったり少しずつ面白くなってはまっていきました。父も元オリンピック選手で、いろいろと教えてもらううちに試合で勝てるようにもなってきて、勝つことの面白さも感じるようになりました。ただ僕は中学生になってから始めたので、決して早いほうではなかったんです。全国大会などで上位に残るような選手はほとんどが小学校低学年から始めていたりするので、試合ではなかなか勝てなくて悔しい思いもしました。一番悔しかったのは中学3年生のときの全国大会でした。始めたのは遅かったけど上達も早かったし、県内の大会で優勝もしていたので自分でも自信を持っていました。ところがベスト32で戦った選手に、ダブルスコアで負けたんです。そのときの選手が、今は同じ代表チームの太田雄貴選手でした。その時の悔しさが、フェンシングに向かう気持ちに変化がでてきました。ある意味、最初のターニングポイントだったかもしれませんね。
 高校からはフェンシング部に所属し、監督である父の元で練習に励む毎日でした。もともと宮城県はフェンシングの盛んなところで、競技人口も多く、県下でも10校以上の高等学校にフェンシング部があります。その中には元オリンピック選手が指導する学校もあり、部員も多いので練習相手にも困ることがなく、フェンシングをする環境としては恵まれていたと思います。僕の高校生活も学校と練習の毎日で、地味な高校時代だったと思いますよ(笑)。それに高校3年の時には部のキャプテンをしていたので、監督と後輩たちの間に挟まれて、精神面でもかなり鍛えられたんじゃないかと思います。

大学時代にナショナルチーム入り、2度のオリンピックへ

フェンシングを通して、被災地にも元気を送りたい

千田 健太選手写真
 中央大学は父の母校でもあり、フェンシングにも優れた環境だと思っていたので進学を決めました。そして大学3年の時に初めてナショナルチームに入ることができました。フェンシングの試合はヨーロッパ、アジア、キューバなど、海外で多く開催されているのですが、僕は最初の年にグランプリ大会で個人3位になったんです。その入賞をきっかけにコーチからも評価してもらえたし、トップチームに入ることもでき、自分にとっても大きな自信とやる気につながっていきました。そして在学中には夢だったオリンピックに出場することもでき、大きく飛躍できた学生時代でした。
 僕にとってオリンピックはやはり夢の舞台です。フェンシングにとっても最高峰の競技会であり、その舞台で練習の成果を出し切って、結果を出すことが選手にとっても最高の喜びだと思います。それだけ特別なものですね。初出場となった2008年の北京オリンピックでは、緊張もあり訳のわからない間に終わってしまったという感じでしたが、昨年のロンドンオリンピックでは落ち着いて挑むことができました。何度もイメージトレーニングしましたし、オリンピックの雰囲気にのまれることなく試合ができたと思います。特にその前年には東日本大震災があり、僕の地元はもちろん、日本中がつらい経験をしました。そんな中で僕はフェンシングを通して被災地にも元気を送りたい。そんな思いで挑んだロンドンオリンピックでもありました。特に決勝戦では応援してくれているみんなの声が、こんなに気持ちいいものかと思いました。オリンピックの決勝戦が行われるセンターピストに立てたことも大きな感激でした。何より今回、フルーレ団体で銀メダルを取れたことで、被災地でがんばっている子供たちにも喜んでほしかったし、この気仙沼からメダリストが出たことを励みに将来のメダリストを目指してほしと思っています。でも実は今回一番びっくりしたのは、帰国後の日本の歓迎ぶりでした。現地にいたときは、日本がこんなに盛り上がっているとは知らなかったし、銀座でのパレードもびっくりの連続でした(笑)。

千田 健太選手からのワンポイントアドバイス

フェンシングとは、相手の動きを読む心理戦

千田 健太選手写真
 フェンシングは肉体戦の競技という印象があったのですが、ナショナルチームのオレグコーチに教わるようになり、考え方が変わりました。フェンシングの醍醐味というのは、インテリジェンスなスポーツで、知能や理解力を必要とするものだとよくわかりました。それまでは速さばかりを意識していたのですが、タイミングが大事で、相手の動きをよく見て先を読む心理戦なんだと思うと今まで以上に魅力を感じるようになったんです。そんな僕からのフェンシングに関するアドバイスは
(1)基礎練習を怠らない・・・フェンシングに限らずスポーツ全てにおいて基礎の体作り、体力作りは欠かせません。走ることをはじめ、下半身の強化、持久力や瞬発力を鍛える練習を大事にしてください。
(2)肩周りを強化する・・・フェンシングの動きは肩や腕の前後の出し入れだけのように思われがちですが、肩甲骨から角度を付けた突き方が実践では大事なんです。そのためには背中、特に肩甲骨周辺を柔軟に鍛えるストレッチや筋肉トレーニングも大事だと思います。
(3)応用となるスポーツ・・・フェンシングのような相手と対戦するスポーツは、相手の動きを読んで一歩先を行くことが勝利につながります。そういった観察力、応用力を鍛えるためにも様々なスポーツを取り入れ、いろんな動きを体感してプラスにするようにしています。例えば卓球やバトミントンなど、スピードや瞬発力を養うにも役立つと思います。またスポーツ以外にも集中力や持久力を養えるものを普段から取り入れるようにしています。
(4)騎士道精神・・・フェンシングをする上で大事にしてほしいのは、やはり騎士道精神です。歴史のあるスポーツであり、受け継がれてきたマナーを大事にしてほしいですね。相手がいて審判がいる、試合だけでなく練習においても礼を尽くすことは大事です。そして練習でもサーベルを持ったら必ず面を着けること。これも選手としての大切なマナーです。

千田 健太選手からみんなへメッセージ

負けを次にどう生かすかが大事

千田 健太選手写真
 ロンドンオリンピックは好成績を残すことができ、日本のフェンシング界にも貢献できたかなと思っています。そして被災地である地元に元気を届けることができました。でも、日本を元気づけ、フェンシングの人気を維持するためには僕たち選手が今後も結果を出すことが、大きな目標です。まずは2013年の世界選手権で金メダルを取ること。そして、ひとつひとつの挑戦を次につなげていくことです。
 スポーツの世界はすごく波があって、調子がいい時もあればスランプもあります。もちろん今回の銀メダルはすごくうれしい結果ですが、勝った油断が次の負けにつながることもあります。でも負けた悔しさを次の勝利につなげることもできるはずです。負けを次にどう生かすかが大事だし、これがスポーツの醍醐味でもあると思います。マイナスをプラスにかえる強さ。これからもフェンシングを通して、僕が伝え続けていきたいことです。

※プロフィール等は2013年1月時点のものです。

見延 和靖選手
見延 和靖選手(フェンシング選手)
目の前のことに一生懸命取り組み、突き詰めてほしい
山田 優選手
山田 優選手(フェンシング選手)
何ごとも、全力で楽しめる人になってほしい
三宅 諒選手
三宅 諒選手(フェンシング選手)
目標を見失わず、頑張った分だけ結果にこだわってもいい
淡路 卓選手
淡路 卓選手(フェンシング選手)
今の時間と有り余るエネルギーを大事にしてほしい
太田 雄貴選手

2010年8月

太田 雄貴選手(フェンシング選手)
自分が、自分らしくあるために

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一