【特集】竹内智香選手からの高校生へのメッセージ | 日本の学校

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アスリートからの熱いメッセージ

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竹内 智香選手 プロフィール

竹内 智香選手

スノーボードアルペン選手 広島ガス所属
ソチオリンピックパラレル大回転銀メダリスト

PROFILE

1983年12月21日生まれ。北海道旭川市出身。子供の頃からスキーに親しみ10歳からスノーボードを始める。旭川市立東明中学校からスノーボード部のある北海道上川高等学校に進学するが、競技に打ち込むためにクラーク記念国際高等学校に転校した。そして在学中の2002年、ソルトレイクオリンピックに出場。2003年よりワールドカップに参戦し、2006年のトリノオリンピックにも出場。2007年よりスイスに活動拠点を移し、スイスナショナルチームと共にトレーニングを積む。この間、日本人としてアルペン競技で初のワールドカップ総合3位となった。2010年のバンクーバーオリンピック出場後、広島でのイベント企画を成功させるなどから注目を集め、2011年10月より広島ガスと所属契約を結んだ。2012年12月にはパラレル大回転でFISワールドカップ初優勝を飾った。そして4度目の出場となる2014年のソチオリンピックではパラレル大回転で見事銀メダルに輝いた。2018年には自身5度目となる平昌オリンピックに出場、5位入賞を果たした。

竹内 智香選手の学生時代は・・・

強い想いがなければ、オリンピック出場はなかった

竹内 智香さん写真
 北海道で生まれ育ったので、雪やスキーが常に身近にある環境でした。なので小さい頃から当たり前のようにスキーを始め、自然と滑れていたっていう感じでした。スノーボードを見るようになったのは小学校に入った頃で、始めたのは10歳の時です。それまでスキーは物心つく前から滑っていたこともあって、難しいとか思ったこともなかったのですが、雪の上で自由がきくスキーに比べスノーボードは全くできないという悔しさが、面白さだったのかもしれません。そして本格的にスノーボードに取り組むようになったのは、中学2年生の時の長野オリンピックがきっかけでした。子供の頃からオリンピックに出ることが自然と目標で、小学校の卒業文集にも「夢はオリンピック」と書いていました。そんな中でスノーボードに出会い、長野オリンピックからは正式種目になったこともあり、意識も変わっていきました。また父もオリンピックを目指していたこともあり、興味を持つきっかけになっていたと思います。
 中学生からいろんな大会に出場するようになりましたが、とにかく目の前のレースがすごく楽しみで、勝ち負けはもちろんですが、大会で友達に会えることも嬉しかったですね。オリンピックへの想いは子供の頃から常にありましたが、目標というより「出るんだ」という気持ちを常に持っていたし、自分自身を信じていました。私はいつもポジティブ思考で、起きてしまったことや失敗でも、どのように生かしてプラスに変えていくかを考える方なんです。そのポジティブさと「オリンピックに絶対に出る」という強い思い込みがなければ、高校生で最初のソルトレイクオリンピック出場もなかったと思っています。
 中学時代はできるときにナイターなどで練習していましたが、高校進学はスノーボード部のある上川高校に進み、部活動としてやるようになりました。また高校生になると海外の大会にも出場するようになり、学業との両立が段々難しくなってきました。特に高校2年生から日本代表にも入って更に遠征も増えてきたので、通信制で学べるクラーク記念国際高等学校に転入することにしました。そして2002年にオリンピックに初出場し、2003年シーズンからはワールドカップにも参戦するようになりました。

スイスでの挑戦、そしてオリンピックでつかんだ銀メダル・・・

日本人が勝てないなら、強い選手の中で自分を試してみたい

竹内 智香さん写真
 ソルトレイクに続くトリノオリンピックの後、私の中で大きなターニングポイントとなったのがスイスでの挑戦でした。当時、アルペンスノーボードは日本人がなかなか通用しない種目という先入観があり、全く表彰台に上がることもできないスポーツでした。ただ、私自身は「本当に日本人は勝てないのか」という疑問を感じていました。「ならば強い選手の多い国に行って自分を試してみたい」と強く思うようになりました。当時は、日本ではマイナースポーツであるスノーボードの競技環境に対する不平や不満が私の中にもありました。対してスイスは環境が素晴らしく、選手にとって羨ましい部分がすごくありました。私が練習を共にさせていただいたスイスのナショナルチームでは素晴らしい選手をはじめ、人との出会いにも恵まれていたと思います。もちろん大変なことも多かったですが、私にとってはプラスになることの方が多くありました。スイスに拠点を移してからは競技にも結果が出るようにもなってきましたが、一方で改めて感じたのが日本の良さでした。もちろん日本とスイスでは国民性も違えば文化や習慣も違うし、考え方もそれぞれです。だからこそ日本とスイスの両方の文化や考え方に触れることができたのは大きかったと思います。結果的には生きていく力や語学力、人間力を養う事ができたとも思います。もし、アルペンスノーボードが日本でもメジャーなスポーツだったなら、こんな経験はできてなかったと思います。
やはりヨーロッパにはアルペンスポーツ文化が根強くあります。特にスイスは一年中いつでも滑ることができ、アルペン選手にとっては最高の環境です。そんな中で世界トップクラスの選手たちの滑りを体感し、練習を共にできた5年間は後のワールドカップ初優勝やオリンピックでの銀メダルに確実に繋がっていったと実感しています。

竹内 智香選手からのワンポイントアドバイス

体をうまく使うコーディネート能力も身につけたい

竹内 智香さん写真
 日本では、どうしても一年を通して同じ練習ができないのがアルペン競技です。だからシーズン中とオフシーズンの練習は違ってきます。例えば学生時代は、夏期の練習は陸上トレーニングが中心で、シーズンになると雪上トレーニング+コンディショニングというプログラムでした。
(1)陸上トレーニング・・・走ることや自転車に乗ることは全てのスポーツで効果的なトレーニングだと思います。スポーツにおいて必要な体力を身につけ、怪我をしない体を作ることにもなります。こういった基礎練習を積んだ上で、技術向上のためのトレーニングをするようにしていました。
(2)ウエイトトレーニング・・・競技に必要な体の筋肉を鍛えるトレーニングです。
(3)雪上トレーニング・・・シーズン中は午前中の2〜3時間は雪上で滑っていました。本数をこなすときもあれば質を向上させる練習もします。そして雪上トレーニングの後はコンディショニングです。走ったりストレッチをすることで体の疲れを取り、ほぐすようにします。筋肉を上手に鍛え、怪我をしない体を作る上では大事なトレーニングです。

基本的なトレーニングはこれだけですが、オフシーズンには球技をはじめいろんなスポーツをやっていました。スポーツの種類によって使う筋肉も違ってくるので、全身の筋肉を使えるようにするにはいろんなスポーツをした方が効果的だと思います。そうすることで、体をうまく使うコーディネート能力も養うことができるからです。
ちなみに、これは私の学生時代の練習内容で、誰にでも効果的かどうかは一概には言えません。ただ高校時代は、いろんなことにトライできる時でもあると思っています。

竹内 智香選手からみんなへメッセージ

人生を生き抜く力、楽しむ力を身につけて欲しい

竹内 智香さん写真
 もし今私が高校生なら、かけて欲しい言葉は「スポーツが一生、自分の生活を支えるものではない」ということです。私は物心つく前にスキーを始め、学生時代はスノーボードしかしてこなかった気がします。もちろん後悔はしていませんが、今皆さんに言いたいのは、スポーツにしても芸術にしても、それだけではもったいない。学業や友達などの人脈、学生時代にしかできないことも大事にして欲しいです。特にスポーツは人生を楽しむひとつのツールだと思うので、いつか出来なくなった時でも人生を生きていく力、楽しむ力を身につけていたい。ヨーロッパで生活してみて思ったことは、みんなスポーツ選手でありながら手に職を持った人が多いんです。もうひとつの生きる道を持っていることが、人間としての強さでもあると感じたからです。皆さんも、スポーツに限らず何かに打ち込むことは素晴らしいことですが、もっといろんなことに視野を広げて、どんどんチャレンジするのもいいんじゃないかなと思います。
 人生はまだまだ長いですが、トップアスリートとして活躍できる時間は限られています。私自身、オリンピックも終わりやっと落ち着いて、次の目標はまだ決まっていません。でも今の私があるのはウインタースポーツ、スノーボードがあったからです。だからこれからは、いろんな形で恩返しというか、何か還元できたらいいなと考えています。せっかくスポーツを通して素晴らしい経験ができたんだから、スポーツの楽しさを一人でも多くの人に伝えていきたいと思っています。

※プロフィール等は2018年5月時点のものです。

成田 童夢選手

2006年10月

成田 童夢選手(スノーボード選手 ‘06トリノオリンピック日本代表)
自分の好きなことに、どんどんチャレンジするべき!

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株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一